バイブコーディングのセキュリティ対策|AIアプリ公開前の確認リスト

AIの安全・ガバナンス

公式情報の確認:2026.10.23。提供元とOWASPの公開資料に基づく整理で、個別アプリの安全性を診断したものではありません。

AIで作ったアプリは、動いたことだけでは公開してよいと判断できません。扱う情報、利用者ごとの権限、秘密のAPIキー、決済や利用料、停止・復旧方法を確認しましょう。本記事では、重要な項目が未確認・要修正なら、実データを扱う公開や公開範囲の拡大を保留することを判断基準にします。

この記事では、自然な言葉でAIにコードの生成・修正を頼む開発をバイブコーディングと呼び、Webアプリの公開前確認を扱います。アプリ自体が生成AIを使う必要はありません。機能別の表で確認対象を選び、公開前チェック表に根拠と残った課題を記録していきます。

最初にやること:①アプリの機能と情報の流れを書く → ②設定と動作を確かめる → ③根拠を確認表に残す → ④未解決の点を修正・相談する。すでに秘密のキーが漏れた疑いがある場合は、漏洩時の対応を先に確認してください。

01公開前に、自分のアプリが何を扱うか整理する

バイブコーディングのセキュリティ対策は、まず「何ができるアプリか」を書き出すところから始めましょう。作成に使ったAIの名前より、受け取る情報や許す操作に合わせて確認対象を決めます。

表示・入力・保存・ログイン・決済・外部送信を分ける

下の表は、この記事独自の分類です。どれか1つではなく、該当する機能をすべて選びます。例えば会員制のAIチャットなら、入力・保存・ログイン・外部送信が重なる場合があります。

アプリ機能別の確認範囲|共通項目に、該当する機能を追加する
区分・機能 例 重点的に確認すること
全アプリ共通 表示中心のページを含む 公開する情報・ファイル、公開範囲、管理アカウント、更新、費用、停止・復旧
入力がある 検索、投稿、問い合わせ、アップロード 受け付ける形式・容量・件数、処理する場所、表示や処理への渡し方
保存がある メモ、履歴、画像、ログ 保存先、読める人、保存期間、削除方法、必要なバックアップ
ログインがある 会員ページ、個人用メモ 本人確認、ログイン状態の管理、利用者間の権限、管理者権限
決済がある 有料機能、商品購入 注文と金額、支払い完了の確認、通知の確認、重複処理
外部送信・操作がある 生成AI API、アクセス解析、メール送信 送信する情報と相手、認証情報、許す操作、利用量、停止方法

機能の多さで安全・危険を採点する表ではありません。入力があっても端末内だけで処理するアプリはあります。実際の送信・保存の有無で判断してください。

誰の情報が、どこへ送られ、どこに残るかを書く

例えば文章を要約するアプリなら、「利用者のブラウザ → 自分のサーバー → AI提供元」という流れが考えられます。これは説明用の例です。実際には、データベースや、処理の記録であるログにも情報が残ることがあります。

自分のアプリについて、送る情報、送信先、保存先、読める人を書きます。「画面に保存ボタンがない」ことと「どこにも保存されない」ことは分けて確認しましょう。ブラウザ内の保存、アクセス解析、エラー記録も調べ、不明な箇所には未確認と書きます。

根拠:OWASP|Logging Cheat Sheet

検証環境と、予定する公開範囲を決める

確認は、自分が管理する検証環境と架空データで行います。本番とは別の環境を使う場合は、接続先、APIキー、権限、公開設定の違いを記録し、公開前にその違いも確認対象にします。

「URLを知人にだけ教えた」は、認証によるアクセス制限とは別です。利用者を限定したいときは、許可した人だけが使える仕組みを確認してください。画面だけでなく、データを返すAPIなどの窓口にも制限が必要です。

根拠:OWASP|Authorization Cheat Sheet

02APIキーと個人情報が公開物に含まれていないか

APIは、アプリから別のサービスを利用するための窓口です。APIキーには利用元を識別するものなどがありますが、ここで特に注意するのは、第三者に渡してはいけない秘密のAPIキーです。

コード・配布ファイル・ログ・画像を分けて見る

秘密のキーは、ブラウザへ配るコードに入れません。OpenAIも、ブラウザなどの利用者側の環境に秘密のキーを置かず、自分が管理するサーバーを経由するよう案内しています。

根拠:OpenAI|Best practices for API key safety

確認するのは、編集中のコードだけではありません。少なくとも次の公開経路を分けて見ます。

  • コードと設定:コードの保管場所であるリポジトリ、過去の変更履歴、設定ファイル。
  • 配布するファイル:公開用に生成したHTMLやJavaScript、ダウンロードさせるファイル。
  • 記録と共有物:エラーログ、画面のスクリーンショット、説明資料、AIへの相談文。

キーだけでなく、テスト用に入れた実名、メールアドレス、社内文書なども対象です。検索・スキャンの結果には調べた範囲を添え、実際の秘密値を確認メモに貼り直さないようにします。説明用の値なら、DUMMY_NOT_A_REAL_KEYのようなダミーを使います。

根拠:OWASP|Secrets Management Cheat Sheet、OWASP|Logging Cheat Sheet

環境変数は、コードとは別に設定値を渡す仕組みです。ただし、環境変数に入れただけでは秘密になるとは限りません。例えばViteでは、VITE_で始まる変数の値が、公開用のコードへ組み込まれます。秘密の値を入れないよう公式資料でも説明されています。

この命名規則はViteの例です。別の開発ツールでも同じ名前だと決めつけず、「最終的に利用者のブラウザへ渡る値か」を、そのツールの公式資料と配布物で確認してください。

根拠:Vite|Env Variables and Modes

公開を前提にしたキーと、秘密の認証情報を区別する

「キー」という名前の値を、すべて一律に削除する必要はありません。例えばSupabaseには、ブラウザなどで使う公開用のpublishable keyと、サーバー側だけで扱うsecret keyがあります。

ただし、公開用キーがあればデータを守れるわけではありません。Supabaseでは、データの行ごとにアクセスを制限するRLSなどの権限設定を確認します。秘密キーはその制限を回避できる強い権限を持つため、公開用キーの代わりにブラウザへ置いてはいけません。

根拠:Supabase|API keys

また、キーをサーバー側へ移しても、そのサーバーを誰でも無制限に呼び出せるなら別の問題が残ります。呼び出す人の権限と利用量は、キーの保管とは分けて確認します。

根拠:OWASP|Authorization Cheat Sheet、OpenAI|Best practices for API key safety

漏洩の疑いがあれば、公開作業を中断する

注意公開場所から消すだけでは、漏れたキーは無効になりません。秘密のキーが外へ出た疑いがある場合は、通常の公開作業を中断し、提供元の手順で旧キーの失効と安全な新キーへの移行を進めます。

失効とは、そのキーを使えなくすることです。不正利用が進んでいる場合などは停止を優先し、本番への影響があるときは担当者と切替を調整します。あわせて利用履歴と請求を調べ、新しいキーを同じ経路で漏らさないよう原因を直します。

根拠:OWASP|Secrets Management Cheat Sheet、OpenAI|Best practices for API key safety

詳しい順序は、AIセキュリティ入門の「APIキー漏洩時の対処」で確認できます。

03ログインと「他人のデータを扱えないこと」を分けて確認する

認証は「利用者が誰か」を確かめることです。認可は「その人に、どの操作を許すか」を判断することです。ログインに成功しても、他人のデータまで見られてよいことにはなりません。

根拠:OWASP|Authorization Cheat Sheet

未ログインの人が使える機能を決める

まず、誰でも見られるページと、ログイン後だけ使える機能を書き分けます。例えば非公開メモアプリなら、案内ページは公開し、メモの閲覧・作成・変更・削除はログインした本人に限る、と決められます。

ログイン機能は、提供元が保守している認証サービスなどの仕様を確認して使います。ログアウトやログイン状態の有効期限、アカウントの復旧も確認対象です。ログイン後のページを含め、通信を暗号化するHTTPSで利用できることも確認してください。

根拠:OWASP|Authentication Cheat Sheet

利用者AとBのデータが分離されることを確かめる

次の表は、利用者ごとに非公開のメモを持つアプリの設計例です。共同編集や一般公開をするアプリでは、許す範囲が変わります。

利用者別の権限|非公開メモアプリの設計例
利用者 閲覧 作成 変更 削除
未ログイン 不可 不可 不可 不可
利用者A Aのメモのみ Aの所有として作成 Aのメモのみ Aのメモのみ
利用者B Bのメモのみ Bの所有として作成 Bのメモのみ Bのメモのみ
管理者 別途許可した範囲 別途許可した範囲 別途許可した範囲 別途許可した範囲

表を作るだけでは、設定や動作を確かめたことにはなりません。自分の検証環境で、次の順に確認します。

  1. 期待する権限を決めます。誰が、どのデータを、どこまで扱えるかを書きます。
  2. 設定・実装を確認します。サーバー、API、データベースのどこで権限を判断するかを調べます。
  3. 架空のA・Bアカウントで結果を確認します。許す操作ができることと、許さない操作が拒否されることを確かめます。
  4. 対象と結果を記録します。画面しか調べていない場合は、API側の確認まで終えたことにしません。

ボタンを隠すだけでは、操作を拒否する仕組みにはなりません。権限の判断は、サーバーやデータ基盤など、利用者が勝手に変更できない側で行う必要があります。

根拠:OWASP|Authorization Cheat Sheet、OWASP WSTG v4.2|Testing for Insecure Direct Object References

確認方法が分からない場合は、技術者へ「自分の検証環境で、AとBの閲覧・作成・変更・削除を分離したいです。確認できた設定は○○、未確認は○○です。許さない操作がどこで拒否されるか、確認方法と結果を教えてください」と依頼します。実データや秘密のキーは添付しません。

管理者の操作と、通常利用者の操作を分ける

管理者だから全データを無条件で読める、とは決めつけません。利用者の削除、権限変更、データ出力など、運用に必要な操作と理由を定めます。

アプリの管理者に加え、公開サービス、コード保管先、データベースの管理アカウントも確認します。担当者を明確にし、不要な管理権限を外し、利用可能ならパスワード以外の確認も組み合わせる多要素認証を設定します。

根拠:OWASP|Authorization Cheat Sheet、OWASP|Authentication Cheat Sheet

AIがメール送信やデータ更新を行うアプリでは、AIに渡す操作権限も別に定めます。これは利用者A・Bのデータ分離の確認を代わりに済ませるものではありません。

根拠:OWASP|AI Agent Security Cheat Sheet

04入力・保存・決済・費用・更新を確認する

ここからは、該当する機能がある項目を確認します。コードだけでなく、利用しているサービスの設定と、公開後に管理する担当も対象にします。

入力とアップロードの制限をサーバー側でも確認する

サーバーへ情報を送るアプリでは、受け付ける文字数、数値の範囲、ファイルの種類・容量・件数を決めます。ブラウザの入力欄で制限していても、それだけに頼らず、受け取るサーバー側でも条件を確かめます。

ファイルは拡張子だけで判断せず、種類の確認、保存場所、閲覧できる人も確認対象にします。端末内だけで処理するアプリに、確認のためだけにサーバーを追加する必要はありません。

根拠:OWASP|Input Validation Cheat Sheet、OWASP|File Upload Cheat Sheet

入力制限だけで、すべての問題を防げるわけではありません。例えば、入力やAIの出力を画面へ表示するときは、意図せずプログラムとして実行させない処理が必要です。データベースへ渡すときも、命令と入力データを分ける方法などを確認します。実装の判断が難しい場合は、その処理を技術者へ見てもらいましょう。

根拠:OWASP|Input Validation Cheat Sheet

保存先・外部送信先・削除方法を確認する

保存機能がある場合は、データベースやファイル置き場が、意図しない相手へ公開されていないか確認します。利用者がログインする画面とは別に、保存先そのもののアクセス設定も見ます。

本記事の確認表では、保存する理由、保存期間、削除する方法、不要なテストデータの除去まで記録します。ログやバックアップに残る情報は、通常の画面から削除した情報と分けて確認してください。秘密のキーや不要な個人情報を、調査用ログへそのまま残さないことも重要です。

根拠:OWASP|Authorization Cheat Sheet、OWASP|Logging Cheat Sheet

生成AIを呼び出すアプリなら、誰の文章やファイルを、どの提供元へ送るかを記録します。さらにAIが外部操作も行う場合は、読み込んだ文書やAIの出力を、そのまま送信・削除・決済の許可として扱いません。許す操作を絞り、影響の大きな操作には内容を確認して承認する仕組みを設けます。

根拠:OWASP|AI Agent Security Cheat Sheet

決済と、運営側の利用料を分けて確認する

決済は、利用者から支払いを受ける処理です。「支払い成功」の画面が表示されたことだけで確定せず、サーバー側で決済結果を確認します。注文・金額・通貨が一致するか、決済サービスからの通知が本物か、同じ通知で二重に商品や利用権を渡さないかを確かめます。

確認には、提供元が用意するテスト環境や手順を使います。結果を判断できないまま、本番決済を有効にしないようにしましょう。

根拠:OWASP|Third Party Payment Gateway Integration Cheat Sheet

一方、利用料は、運営者が公開サービスやAI APIなどへ支払う費用です。次の3つは役割が違います。

  • 通知:利用量や金額が条件に達したことを知らせます。
  • 停止条件:条件に達したとき、対象の処理や利用を止めます。
  • 利用頻度の制限:一定時間内の呼び出し回数などを抑えます。総額の上限とは別です。

例えばGoogle Cloudの通知専用予算であるalerts-only budgetは、設定額に達しても、それだけでは利用や請求を自動停止しません。対応するサービスには別の支出上限機能もあるため、「予算」という名前だけで判断せず、自分が使う機能の停止対象と条件を確認します。

根拠:Google Cloud|Create, edit, or delete budgets and budget alerts

上限を設定できる場合も、反映のタイミングや対象外の費用を確認してください。通知先、異常時に止める方法、利用者ごとの制限を確認表へ記録します。秘密のキーが見えないことと、運営側の費用が制御できることは別です。

根拠:OpenAI|Best practices for API key safety、OWASP|AI Agent Security Cheat Sheet

使っている部品と、AIが変更した箇所を確認する

アプリが利用する外部のプログラム部品を、依存パッケージと呼びます。名前、採用バージョン、配布元、既知の問題、更新情報の確認先を残します。アプリを動かす実行環境についても、公開サービスに任せる範囲と自分が更新する範囲を分けます。

根拠:OWASP|Vulnerable Dependency Management Cheat Sheet

AIに修正を頼んだあとは、依頼した画面だけでなく、変更された設定、権限、依存パッケージ、テストも見ます。「テストが成功した」場合でも、必要なテストが削除されたり、確認条件が弱くなったりしていないかを確認します。

スキャナーの「問題なし」やAIの説明は、確認材料の一部です。対象範囲と結果を残し、未確認の設定や運用まで検証済みにしないでください。

根拠:OWASP|Secure Coding with AI Cheat Sheet、GitHub|Application card: GitHub Copilot Agents

05公開前チェック表で「確認できた根拠」を残す

確認表では、チェックの数よりも、どこで何を確かめ、何が残っているかを重視します。共通情報として、アプリ名、確認日、確認者、対象の版、検証環境、本番との差分、予定する公開範囲を記録してください。

「確認済み・要修正・未確認・対象外」に分ける

状態は、この記事では次のように使います。「相談が必要」は状態ではなく、未解決時の行動に記録します。

  • 確認済み:決めた確認条件を満たし、設定や確認結果などの根拠が残っています。
  • 要修正:問題が見つかり、まだ解決していません。
  • 未確認:調べていない、情報が足りない、または判断できません。
  • 対象外:機能がないなど、確認が不要な理由を確かめ、記録しています。

注意この表は、セキュリティ診断書や安全証明ではありません。全部を確認済みにしても、安全や無欠陥を保証しません。扱う情報や機能によって、追加の設計確認・専門的な検証が必要です。

以下は本記事独自の確認表です。「未確認」は記入を始めるための初期値で、あなたのアプリを検査した結果ではありません。横に長い表は横スクロールできます。

公開前チェック表|確認場所・根拠・状態・次の行動を残す
対象 確認場所 根拠・記録 状態 未解決時の行動
アプリ種別・公開範囲 機能一覧、公開設定 機能、扱う情報、公開相手、本番との差分 未確認 対象と公開範囲を確定する
秘密情報・公開物 コード、履歴、配布物、ログ、画像 調べた範囲、キーの用途、露出の確認結果。実値は書かない 未確認 露出の疑いがあれば中断し、失効・安全な移行へ
認証・管理アカウント 認証サービス、管理画面 未ログイン時の結果、ログイン状態の管理、管理者の保護 未確認 対象機能を制限し、担当者へ確認
利用者間の権限 サーバー、API、データ基盤の設定 A・Bの閲覧・作成・変更・削除と、許さない操作の拒否 未確認 実データを扱う公開や利用者の拡大を保留
入力・アップロード・表示 入力、保存、表示の処理 形式・容量・件数の制限、サーバー側の確認、出力の扱い 未確認 受け付ける機能を制限し、実装を確認
保存・削除 データベース、ファイル、ログ 公開設定、保存期間、削除方法、テストデータの除去 未確認 個人情報などの投入を保留
外部送信・外部操作 API連携、解析、メール、AIの設定 送信内容・相手、許す操作、承認・停止条件 未確認 該当連携を止め、送信内容と権限を確認
決済 決済サービス、注文・通知の処理 金額・注文との対応、完了確認、通知の確認、重複処理 未確認 本番決済を有効にせず、担当者へ確認
利用料・過剰利用の防止 利用量・課金画面、利用制限 通知先、停止条件、適用範囲、利用者ごとの制限 未確認 有料処理や利用範囲を制限する
更新・AIによる変更 依存パッケージ、実行環境、変更履歴 バージョン、配布元、指摘への対応、変更内容、更新担当 未確認 修正・更新と必要な再確認を行う
異常の検知・停止 通知、ログ、API・外部連携の停止設定 異常を知る方法、停止対象、操作手順、担当 未確認 止められる範囲を確認するまで公開拡大を保留
復旧 バックアップ、公開履歴、復旧手順 戻せる対象、戻し方、確認結果、担当 未確認 復旧手順と確認範囲を決める

1行の中で確認状況が違う場合は、項目を分けて記録します。例えば利用者のログイン機能がなくても、公開サービスの管理アカウントの保護まで対象外にはしません。「決済機能なし」のように、対象外にした理由も残してください。

記入例:「利用者Aの画面にBのメモは表示されなかった。ただし、API側の権限設定と拒否される動作は未確認」。この場合、利用者間の権限全体は「未確認」とし、実データでの公開を保留して、技術者へ確認を依頼します。画面で見えなかった結果は、部分的な根拠として残せます。

公開を見送る条件と、相談先を決める

本記事では、実際に使う機能に関係する重要項目が未確認・要修正なら、実データを扱う公開や公開範囲の拡大を保留することを基準にします。特に、個人情報、秘密情報、利用者間のデータ分離、決済、外部送信・操作、費用を止める手段を重視します。

これは筆者が提案する運用上の判断基準で、公式の合格基準ではありません。不要な機能を外す、扱う情報を減らす、適切にアクセスを制限した環境で検証を続ける、といった見直しも選べます。

サービスの機能・契約・設定の疑問は提供元へ、実装やデータ分離の疑問は開発者・セキュリティ担当へ相談します。「相談した」で終わらせず、依頼範囲、確認結果、残る課題、対応者を記録してください。

すでに漏洩や無許可の操作が見つかった場合は、相談を待つだけでなく、該当機能や公開を停止・制限して対応します。調査に必要な記録は、閲覧できる人を限定して保全します。

異常の検知・停止・復旧まで担当を決める

異常な利用量や権限エラーなどを、どの通知・ログで知るかを決めます。通知を受ける人と、不在時の連絡先も確認しましょう。個人開発なら、自分が確認できる通知先と操作手順を残します。

根拠:OWASP|Logging Cheat Sheet

停止方法は「ページを非表示にする」だけで終えません。API、定期実行、外部連携など、実際に動いている処理ごとに、どこまで止まるかを確認します。

復旧は、保存してあるバックアップの有無だけでなく、戻す対象と手順を決め、検証環境で結果を確かめます。以前のコードへ戻すことと、データを戻すことは別です。漏洩したキーや問題のある版へ戻さないことも、復旧の条件に含めます。

コピーして使う公開前確認記録

下の様式を手元のメモへコピーし、まず12項目の状態を記入します。そのあと「1項目の詳細記録」を複製して、各項目の根拠と次の行動を残してください。APIキー、パスワード、利用者の実データは書き込みません。

自分のアプリ1本の公開前確認記録

AIで作ったアプリの公開前確認記録
安全証明ではありません。秘密のキー・パスワード・実データは書かないでください。
【基本情報】
アプリ名:
確認日・確認者:
対象バージョン/公開版ID:
検証環境:
本番との差分:
予定する公開範囲:
該当機能(複数選択):入力/保存/ログイン/決済/外部送信・操作
扱う情報・送信先・保存先:
利用サービスと、自分/提供元の管理範囲:
記録の保管先:
【状態の一覧】
確認済み=条件を満たし根拠あり/要修正=問題が未解決
未確認=未実施・情報不足・判断不能/対象外=不要な理由を確認済み
以下の「未確認」は記入前の初期値です。
01 アプリ種別・公開範囲:未確認
02 秘密情報・公開物:未確認
03 認証・管理アカウント:未確認
04 利用者間の権限:未確認
05 入力・アップロード・表示:未確認
06 保存・削除:未確認
07 外部送信・外部操作:未確認
08 決済:未確認
09 利用料・過剰利用の防止:未確認
10 更新・AIによる変更:未確認
11 異常の検知・停止:未確認
12 復旧:未確認
【1項目の詳細記録:項目ごとに複製】
対象:
確認場所・設定名:
確認日・確認者(基本情報と異なる場合):
期待する結果:
実際の結果:
根拠・記録の保管先:
状態:
対象外の場合の理由:
未解決の点:
未解決時の行動/止める機能:
担当・相談先・依頼範囲:
対応期限・再確認の条件:
【公開と運用の判断】
現時点の判断:公開保留/条件を限定して再検討/予定範囲での公開を検討
判断の根拠:
公開前に必要な修正・確認:
相談後の結果と残る課題:
異常の通知先・確認担当:
停止する対象・方法・担当:
復旧する対象・方法・担当・確認結果:
次回確認日/再確認のきっかけ:
コピー後、手元のメモに貼り付けて記入できます。

06よくある質問

AIに「安全か確認して」と頼めば十分ですか?

十分とはいえません。AIは確認箇所の整理やコードレビューの補助に使えますが、見ていない管理画面や本番設定まで検証したことにはなりません。GitHubも、Copilotのコードレビューには見逃しや誤った指摘があると説明しています。AIの回答と、実際の設定・確認結果を分けて記録してください。

静的サイトなら何も確認しなくてよいですか?

いいえ。あらかじめ用意したHTMLなどを配る静的サイトでも、フォームやアクセス解析があれば、送信先や扱う情報を確認します。そうした機能がなくても、公開ファイルに秘密や個人情報がないか、管理アカウントを守れているかは確認対象です。名称ではなく、実際の機能で判断します。

無料で公開するアプリでも対策は必要ですか?

必要です。利用者が支払わないことと、情報漏洩や不正な操作の影響がないことは別です。AI APIや公開サービスの費用が運営者に発生する場合もあるため、扱う情報・機能・利用料を基準に確認します。

コードを読めない場合は公開できませんか?

一律に公開できないわけではありません。提供元に管理を任せる範囲と、自分が確認・運用する範囲を分け、必要な確認を技術者へ依頼します。ただし、重要項目が分からないまま、個人情報や決済を扱う公開へ進まないことが本記事の基準です。機能を減らし、確認できる範囲から計画を見直す方法もあります。

根拠:GitHub|Application card: GitHub Copilot Agents、OpenAI|Best practices for API key safety、OWASP|Logging Cheat Sheet

07まとめ|次に公開する1本の確認表を埋める

AIアプリの公開準備は、分からない点を隠さず、確認結果と次の行動を残すことから始められます。動作する画面ができたら、公開範囲を広げる前に、その裏側のデータ・権限・費用・運用を確かめましょう。

  • 機能で選ぶ:入力・保存・ログイン・決済・外部送信など、該当する確認対象をすべて選びます。
  • 根拠を残す:確認済み・要修正・未確認・対象外を、設定や結果、理由と一緒に記録します。
  • 未解決なら止めて相談する:重要な未確認事項が残る公開は保留し、修正・相談と停止・復旧の準備を進めます。

自分のアプリ1本の公開前チェック表を埋める →ログイン、権限、保存先、決済、外部API、公開範囲、コードや設定、依存パッケージを変更したら、関係する項目を再確認してください。

引用元・公式情報

2026年10月23日確認。提供元の公式資料とOWASPのセキュリティ資料を参照し、ユーザー報告は根拠に用いていません。3つの表と公開判断の基準は、それらを踏まえて本記事で整理したもので、提供元による安全認定ではありません。

  1. OWASP|Logging Cheat Sheet(ログの保存先、秘密情報の除外、監視と記録の保護)
  2. OWASP|Authorization Cheat Sheet(認証と認可、最小権限、サーバー側での権限確認)
  3. OpenAI|Best practices for API key safety(秘密のAPIキーの保管、漏洩時の交換、利用量の確認)
  4. OWASP|Secrets Management Cheat Sheet(秘密情報の管理と失効)
  5. Vite|Env Variables and Modes(VITE_で始まる環境変数の公開範囲)
  6. Supabase|API keys(公開用キー・秘密キーとデータのアクセス制限)
  7. OWASP|Authentication Cheat Sheet(認証、アカウント復旧、多要素認証、暗号化通信)
  8. OWASP WSTG v4.2|Testing for Insecure Direct Object References(複数の検証用利用者で、データと操作の権限を確認する考え方)
  9. OWASP|AI Agent Security Cheat Sheet(AIが使う外部ツールの権限、送信、承認、利用量の制限)
  10. OWASP|Input Validation Cheat Sheet(サーバー側の入力検証と、表示・処理時の追加対策)
  11. OWASP|File Upload Cheat Sheet(ファイルの種類・容量・保存先・権限)
  12. OWASP|Third Party Payment Gateway Integration Cheat Sheet(決済結果、注文・金額、通知と重複処理の確認)
  13. Google Cloud|Create, edit, or delete budgets and budget alerts(通知専用予算と支出停止の違い)
  14. OWASP|Vulnerable Dependency Management Cheat Sheet(依存パッケージの問題把握と対応)
  15. OWASP|Secure Coding with AI Cheat Sheet(AIが変更したコード・設定・依存関係・テストの確認)
  16. GitHub|Application card: GitHub Copilot Agents(AIレビューの見逃し・誤った指摘と、人による確認)

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