Rephrase and Respond|日本語で意図のずれを確認

AI研究・論文解説
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言い換えの前後を照合する

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Rephrase and Respond(RaR)には回答改善の報告がありますが、日本語や現行モデルでの同じ効果は断定できません。使うなら、元の条件と言い換え文を照合し、条件が変わった文は修正してから回答へ進める運用を提案します。

RaRとは、AIに質問を言い換え・補足させてから回答させるプロンプト手法です。プロンプトとは、AIに渡す指示文のことです。本記事では、原著の結果と筆者の運用提案を分け、言い換えを採用する条件と日本語の依頼文を示します。RaRの研究者公式ページ

こんな人におすすめ

  • AIの答えが依頼の意図からずれることがある人
  • 言い換えられた質問を、そのまま使ってよいか迷う人
  • RaRの日本語での使い方と研究の限界を知りたい人

公式一次情報の最終確認:

RaRで回答はどこまでよくなるのか

Rephrase and Respond(RaR)は、質問を言い換えてから答えさせる手法で、原著では課題やモデルによって改善幅が異なります。研究の数字を見るときは、何を解かせた結果なのかを一緒に確認してください。原著v2:実験結果とモデル比較

質問を言い換える手法の狙い

RaRの狙いは、元の質問をモデル自身に言い換え・補足させ、回答前に問いを明確にすることです。独立したアプリやモデルの名称ではなく、質問の与え方を工夫する手法です。論文当時UCLAに所属していたYihe Deng氏らが提案しました。RaRの手法と提案者

論文の初版は2023年11月7日です。本記事は2024年4月18日改訂のv2を参照しています(2026年9月26日確認)。現在の製品アップデートとして紹介しているわけではありません。arXivの公開日・改訂履歴

著者の一人であるQuanquan Gu氏は、初版公開時にXでRaRを紹介しています。まず手法の狙いを確認し、続いて原著v2の数字と評価条件を見ていきます。

著者のX投稿:質問を理解しやすくするRaR

Quanquan Gu(@QuanquanGu)/

原文抜粋:“enhances LLMs’ understanding of human questions.”

日本語訳:「LLMによる人間の質問の理解を向上させる。」

投稿の要約:著者はRaRを、人間とAIの意思疎通を改善する手法として紹介しています。質問の曖昧さを解消し、GPT-4の回答性能を改善する狙いを伝えた投稿です。

日本語訳・要約は本記事によるものです。投稿は2023年の初版公開時の紹介で、以下の比較表は2024年4月18日改訂の原著v2を参照しています。記事後半の「人が言い換えを照合する日本語の運用案」は筆者の提案です。

課題によって異なる研究上の改善幅

投稿で紹介された改善を原著v2で見ると、同じ主実験でも、RaRによる正答率の差は課題によって大きく異なります。下表は原著Table 1から選んだ2例で、当時のGPT-4 APIによる結果です。APIとは、プログラムからモデルを呼び出す仕組みです。著者が用いた問題数は各220問で、全課題の成績を並べた表ではありません。

研究結果の比較:当時のGPT-4 API、各220問。正答率の単位は%、差はポイントです。原著v2 Tables 1・5。2026年9月26日確認。

表が収まらない場合は、横にスクロールできます。

課題通常の質問
Original
RaR差対象
4語の末尾文字を連結21.36%86.82%+65.46
ポイント
GPT-4 API
220問
常識選択問題
CSQA
84.09%85.45%+1.36
ポイント
GPT-4 API
220問

差は筆者計算です。86.82−21.36=65.46ポイント、85.45−84.09=1.36ポイント。相対的な改善率ではありません。原著v2:Tables 1・5

大きく伸びた課題の数字だけで、普段の文章作成や調べ物の改善幅を決めることはできません。別のTwo-stepのモデル比較では、GPT-3.5やVicunaで成績が下がる課題も報告されています。原著v2:第4.3節・Figure 5

日本語・現行モデルへ持ち出せない結論

今回参照した原著から、日本語や現行モデルでの改善率は断定できません。当時の課題・モデル・評価条件と、いま自分が使う環境が異なるためです。日本語の依頼に使う場合も、上表の数値を期待値にはしないでください。原著v2:評価対象と実験条件

言い換えた質問を採用してよいか

Rephrase and Respond(RaR)は言い換えで条件が変わる例も報告されているため、本記事では元の条件との照合を採用判断の基準として提案します。読みやすい文章になっていても、依頼内容まで同じとは限りません。原著v2:付録B.1・Table 9

推測を含む筆者の運用提案・効果未検証:以下の5条件で差を確認すると、どこを直す必要があるか整理しやすいと考えられます。照合表自体は原著で評価された手法ではありません。

元質問と言い換え文の5条件を照合する

照合するのは、目的、数値と境界、対象範囲、禁止・除外条件、追加前提の5つです。原著には、Vicunaで「昨日」が「今日」へ変わった例や、GPT-3.5が「最近」という条件を足した例があります。これは日本語で同じ頻度の問題が起きるという報告ではありません。原著v2:条件変更の事例

下表では、架空の研修案A・Bを比較する依頼を使います。元質問は「提供した研修案AとBを、1人あたり3万円未満の条件で比較してください。提供資料だけを使い、宿泊を伴う案は除外してください」です。参加人数は指定していません。

言い換えを採用するための条件照合表
対象:元質問と、回答前の言い換え文。各行は独立した変更例です。説明用の作例であり、実際のモデル出力・検証結果ではありません。更新:2026年9月26日。

表が収まらない場合は、横にスクロールできます。

確認条件元質問言い換え後の例ずれの種類次の行動
目的AとBを比較する最適な研修案を1つ選ぶ比較から選定へ変更修正
まず比較する依頼へ戻す
数値・境界1人あたり3万円未満1人あたり3万円以下3万円ちょうどを追加修正
「未満」を復元する
対象範囲提供資料だけを使う外部の評判も含めて比べる資料の範囲を拡大修正
提供資料だけに戻す
禁止・除外宿泊を伴う案は除外宿泊の有無を問わず比較除外条件の欠落修正
宿泊案の除外を戻す
追加前提 参加人数は未指定 20人が参加する研修を比較 未入力の人数を断定 必要なら追加確認
不要なら人数の前提を削除する

上の変更がなく、必要な前提も確認できた場合に、回答用の入力として採用するか判断します。「採用」は質問文についての判断であり、回答の事実性や計算の正確性の保証ではありません。

採用・修正・追加確認・見送りを分ける

次の順で判断します。言い換えを使う場合に、不明点と条件変更の両方が残っていたら、必要な情報を確認してから条件を直します。

  1. 見送り:元質問だけで目的と必要な条件が十分に明確なら、そのまま回答を求めます。以下は言い換えを使う場合の手順です。
  2. 追加確認:回答に必要な条件が元質問にもない場合は、依頼者に確認します。未確認の値を採用しません。
  3. 修正:変わった・消えた確定条件を元に戻します。回答に不要な追加前提は削除し、再照合します。
  4. 採用:元の条件が保たれ、問いが明確になり、未確認の前提が残らなければ、回答用の言い換えとして使います。

言い換えを採用するために、元質問を後から変更しないことが大切です。依頼そのものを変えたい場合は、変更した条件を自分で確定させてから比較し直してください。

日本語ではどの手順で回答へ進めるか

Rephrase and Respond(RaR)は、言い換えと回答を一度に求める形と二段階に分ける形があり、人が途中確認する運用は本記事の応用案です。日本語の依頼文を使う前に、この違いを押さえてください。RaRの公式手法説明

One-stepとTwo-stepを区別する

One-stepは一度の指示で言い換えから回答までを求め、Two-stepは言い換えと回答を分けます。公式のOne-stepの短い指示は Rephrase and expand the question, and respond. です。日本語なら「質問を言い換え、補足してから回答してください」に相当しますが、この日本語は筆者訳です。公式One-stepの指示原文

Two-stepでは、元質問と言い換え文の両方を回答段階へ渡します。言い換え役と回答役は同じモデルでも別のモデルでもよく、人間の承認が必須という方式ではありません。段階が2つだからといって、時間や料金が一律に2倍になるとは扱いません。原著v2:第5節・Two-step RaR

言い換えだけを出し、確認後に回答を頼む

筆者の日本語運用案(推測を含む・効果未検証):以下は原著の二段階に、人が途中で照合する工程を加えた依頼文です。条件のずれに気づきやすくなると考えられますが、指示どおりに止まることや、回答の改善・誤りの防止は保証しません。

  1. 下の依頼文に自分の元質問を入れ、言い換えだけを求めます。
  2. 出てきた文を、前章の5条件で照合します。不明点や条件変更が残る場合は、回答段階へ進めません。
  3. 採用できる文が決まったら、元質問と採用した言い換えを、2つ目の依頼文に入れます。

① 言い換えだけを依頼する

これから渡す質問の意図を確認するため、質問を言い換えてください。まだ質問への回答はしないでください。

目的、数値と境界(未満・以下など)、対象範囲、禁止・除外条件を保持してください。元の質問にない事実や前提は追加しないでください。
回答に必要な情報が足りなければ、推測で埋めず、確認したい点を示してください。

出力は「言い換えた質問」と「確認が必要な点」に分けてください。確認事項がなければ「なし」と書いてください。

元の質問:
[ここに元の質問を貼り付ける]

コピーできない場合は、上の原文を選択してコピーしてください。

「確認が必要な点:なし」と出ても、照合を省かないでください。人が条件を確認できた場合に、次の依頼文へ進みます。

② 確認した文を使って回答を依頼する

次の「元の質問」と「確認済みの言い換え」を踏まえて回答してください。

元の質問の目的、数値と境界、対象範囲、禁止・除外条件を保持してください。
両者に矛盾がある、または回答に必要な情報が足りない場合は、勝手に条件を選んだり補ったりせず、回答前に確認してください。
根拠が確認できない事実や数値を、確定した情報として補わないでください。

元の質問:
[ここに元の質問を貼り付ける]

確認済みの言い換え:
[ここに採用した言い換えを貼り付ける]

コピーできない場合は、上の原文を選択してコピーしてください。

別のチャットやモデルへ移る場合も、元質問を省略しないでください。言い換え文だけを残すと、どの条件が変わったか比較する材料が失われます。

言い換えを見送り、先に何を直すか

Rephrase and Respond(RaR)は、言い換えだけで情報不足や事実誤りを解消できるとは限らず、本記事では補足と根拠の確認を優先する場面を示します。困っているのが質問の伝え方なのか、材料の不足なのかを分けて考えます。

ここも推測を含む筆者の運用提案です。言い換えを増やすより、欠けている情報や判断材料を先に補う方が適切な場面があると考えられます。

不足情報を補い、明確な条件は保つ

必要な情報が入力されていないなら、先にその情報を補います。「資料を比較して」と依頼して資料を渡していない場合、質問を丁寧に言い換えても比較の材料は増えません。目的・対象資料・必要な条件・出力形式のうち、欠けているものを具体化してください。

反対に、依頼の条件がすでに明確なら、毎回RaRを追加する必要はないというのが筆者の判断です。最初の依頼を整えるところから見直したい場合は、目的・前提・出力形式から依頼を組み立てる手順も参考になります。

条件のずれと回答の事実誤りを切り分ける

元の条件が保たれていても、回答に書かれた事実や計算は別に確認します。たとえば「提供資料だけ」という条件を守っていても、資料の数値を読み違えることは、質問文の照合だけでは判定できません。

回答の根拠を資料の該当箇所と突き合わせ、計算は使った値と式を確認してください。確認材料がない主張は保留し、言い換えのやり直しだけで正しいと判断しないことを勧めます。

最後に、元質問と並べて確認する

RaRには研究上の改善報告がありますが、効果は課題や条件によって異なります。言い換えを使うなら、まず手元の1件を元質問と並べ、5条件が保たれているか確認してください。

使うモデルや依頼の条件を変えたときは、以前の言い換えをそのまま流用せず、元の条件との照合をやり直してください。

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