Gemini 3.5 Transcribe
録音かライブか。
日本語音声の目的から選ぶ。
Gemini 3.5 Transcribeは、日本語の録音音声を文字にするモデルと、リアルタイム文字起こし用モデルを分けて選ぶGoogleの音声認識モデルです。無料枠はありますが無制限ではなく、日本語だけの公式精度値は公開されていません。
先に結論:録音ファイルはgemini-3.5-transcribe、リアルタイム音声はgemini-3.5-transcribe-liveを選び、機密音声には無料枠を使わないのが判断の軸です。
- 日本語音声をGemini APIで文字起こししたい人
- 無料枠・API料金・データ利用条件をまとめて比べたい人
- AI Studio、Geminiアプリ、録音用API、Live APIの違いを整理したい人
Gemini 3.5 Transcribeはどの使い方を選べばよい?
Gemini 3.5 Transcribeは、録音済み音声ならgemini-3.5-transcribe、リアルタイムならgemini-3.5-transcribe-liveを選びます。
最初に決めるのはモデル名ではなく、録音後に処理するか、話している途中から文字が必要かです。次の表では、公式仕様に「筆者の判断」を重ね、どの条件なら選ぶ・条件付きで選ぶ・見送るかを一度に確認できるようにしました。
中核成果物|目的別・利用ルート判断表
| 目的 | モデル/ルート | 主な設定 | 判断に効く制限 | 無料・有料の条件 | 筆者の結論 |
|---|---|---|---|---|---|
| 録音を読みやすい文章にする | gemini-3.5-transcribeFiles API+Interactions API |
ja-JP+smart |
通常は最大1時間。smartは話者分離・単語時刻と併用不可 | 無料枠あり。有料時の公式概算は約0.005米ドル/分 | 選ぶ 議事メモや下書きなど、読みやすさを優先する場合の第一候補 |
| 言いよどみまで記録する | gemini-3.5-transcribe |
verbatim(初期値) |
フィラー、繰り返し、言い直しを残す | 無料枠あり。機密性がある音声は無料枠へ送らない | 選ぶ 逐語録や発話分析など、編集前の記録が必要な場合 |
| 話者・単語時刻を付ける | gemini-3.5-transcribe |
verbatim+話者分離/単語時刻 |
最大30分。話者は最大8人、3人以上の識別は実験的。単語時刻は精度低下の可能性 | 無料枠あり。必要な機能だけ有効化する | 条件付きで選ぶ 後工程で話者・時刻が不可欠な場合だけ追加 |
| ライブ字幕・会話中の表示 | gemini-3.5-transcribe-liveLive API |
ja-JP、必要に応じて語彙指定 |
1セッション最大10分。話者分離・単語時刻は非対応 | 無料枠あり。有料時の公式概算は約0.009米ドル/分 | 選ぶ 遅延の小ささが、話者名や単語時刻より重要な場合 |
| 機密・個人情報を含む音声 | 有効なCloud Billingに紐づく有料APIを候補にする | 保存・削除設計も別途決める | 有料でも安全目的などの限定的なログ保存はある。保持期間の具体値は規約に明記なし | 無料サービスでは入力・出力が製品改善に利用され、人による確認の可能性がある | 無料枠は見送る 有料条件と自組織のデータ要件を照合する |
| コードなしで1回だけ文字起こし | AI Studioの提供画面を確認 | 公開中の操作導線に従う | 録音ファイルのクリック手順を固定的に示す公式ガイドは確認できない | AI Studioの無料利用条件または契約プランに依存 | 慎重に選ぶ API実装を避けたい単発利用では、画面完結型サービスとも比較する |
表は横にスクロールできます。
迷ったら「録音/Live」「読みやすさ/逐語性」「機密性」の3点だけ先に決める
録音なら通常モデル、話しながら表示するならLiveです。その後にsmartかverbatimかを決め、機密音声だけは料金より先にデータ条件を確認します。
Gemini 3.5 Transcribeとは?できることと利用経路
Gemini 3.5 Transcribeは、GoogleのGemini Audio Teamが発表した音声から文字への変換専用モデルで、一般向けGeminiアプリとは利用経路が異なります。
音声認識モデルとは、話し声をテキストへ変換するためのモデルです。Google LLCが提供するGemini開発者向けサービスの一部ですが、チャット用モデル、AI StudioというWeb画面、APIで呼び出すモデル名を同じものとして扱わないことが重要です。Google利用規約、Google公式発表(2026年8月確認)
録音用とLive用でモデルIDが分かれている
gemini-3.5-transcribeは録音済みファイルをInteractions APIで処理し、gemini-3.5-transcribe-liveはLive API経由で音声を連続送信します。
録音用は話者分離と単語単位の時刻を扱えます。Live用は途中結果と確定結果を返せる一方、話者分離と単語時刻には対応しません。Gemini 3.5 Transcribe公式モデル仕様(2026年8月確認)
AI Studio・Gemini API・Geminiアプリは利用経路が違う
Google AI Studioとは、Geminiモデルを試し、設定を確認し、コードを取得する開発者向けWeb環境です。Gemini APIはプログラムからモデルを呼び出す仕組みで、一般向けGeminiアプリやGboard内の音声機能とは料金・画面・利用条件が分かれます。
たとえば、Googleの発表記事にあるmacOS版Geminiアプリの音声操作を、そのままgemini-3.5-transcribe APIの機能として数えることはできません。迷った場合は、AI StudioとGeminiアプリを用途で選び分ける基準も確認してください。
Chirp 3はGemini APIの旧モデルではない
Chirp 3はGoogle Cloud Speech-to-Text V2で使う別系統の音声認識モデルで、モデルIDはchirp_3です。
Googleの発表ではGemini 3.5 TranscribeとChirp 3を比較していますが、Gemini API内でChirp 3が名称変更されたわけではありません。Cloud Speech-to-Textを使う設計なら、別サービスとして比較します。Google Cloud公式Chirp 3ドキュメント(2026年8月確認)
GAとPublic Previewの表記が混在する
Gemini APIリリースノートは2026年8月26日に2モデルを一般提供(GA)したと記載しており、現在のモデルページもサフィックスなしの2つのモデルIDを掲載しています。Gemini API公式リリースノート(2026年8月確認)
一方、同日付のGoogle公式発表末尾には「Public Preview」と残っています。この表記差の理由は公式に明記されていないため、本記事では現行のリリースノートを提供状態の基準とし、発表記事の表記差も併記します。
Gemini全体のモデル・料金・AI Studioをまとめて確認する場合は、総合ガイドへ戻ると位置づけを整理できます。
日本語の文字起こし精度はどこまで分かっている?
Gemini 3.5 Transcribeは日本語ja-JPに対応しますが、日本語音声だけを対象にした公式WERは公開されておらず、2.6%という数値を日本語精度とは呼べません。
公開値はモデル全体を比べる材料にはなります。しかし、日本語会議、固有名詞の多い取材、雑音のある録音で同じ値になることまでは示していません。
日本語はja-JPで指定できる
録音用・Live用の両方が日本語のBCP-47言語コードja-JPを対応一覧に掲載しています。BCP-47とは、言語と地域を機械が識別するためのコードです。
言語コードを省略すると自動判定し、発話中の言語切り替えにも対応します。日本語だと分かっている場合、公式ドキュメントはja-JPの指定を精度向上のために推奨しています。音声文字起こし公式ガイド(2026年8月確認)
WER 2.6%・4.0%は日本語限定の値ではない
WERとはWord Error Rateの略で、置換・削除・挿入された単語の割合から文字起こし誤りを測る指標です。低いほど誤りが少ないことを示しますが、評価データと条件が違えば単純比較はできません。
GoogleはArtificial Analysisの測定値として、録音用2.6%、Live用4.0%を発表しました。またFLEURSの複数言語・地域をまとめた評価として、録音用5.04%、Live用5.50%を示しています。Google公式発表(2026年8月確認)
精度データから言えること・言えないこと
| 公開された評価 | 録音用 | Live用 | 判断できること | 判断できないこと |
|---|---|---|---|---|
| Artificial Analysisの平均WER | 2.6% | 4.0% | 各部門内で他モデルとの相対比較に使える | 録音用2.6%とLive用4.0%の単純比較、日本語だけの誤り率、個別用途での再現値 |
| FLEURSの多言語WER | 5.04% | 5.50% | 複数言語・地域を含む評価での全体傾向 | 日本語会議、方言、雑音、固有名詞ごとの精度 |
| 日本語限定の公式WER | 公式公開値を確認できず | 数値を日本語限定値として断定しない | 「日本語精度98%」などへの換算 | |
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日本語で選ぶなら公開スコアより音声条件を見る
筆者の判断基準では、日本語限定値がない以上、録音の明瞭さ、話者の重なり、固有名詞、必要な出力形式の4点で採用可否を決めます。
明瞭な一人語りと、複数人が重なる会議では難しさが違います。製品名や人名が多いならカスタム語彙を使い、話者名・単語時刻が必要なら精度や長さの制約も受け入れる必要があります。
業務で数値保証が必要な場合、公開された多言語平均だけで決めるのは非推奨です。自社で利用許諾を得た代表音声と正解文を用意し、採用前に同じ条件で比較するのが合理的です。
料金は無料で足りる?API課金はいくら?
Gemini 3.5 Transcribeの有料APIは、公式概算で録音用が約0.005米ドル/分、Live用が約0.009米ドル/分で、どちらにも無料枠があります(2026年8月確認)。
課金の本体は分単価ではなく、入力音声トークンと出力テキストトークンです。1分あたりの数字はGoogleが示す想定トークン量による概算なので、固定料金として扱わないでください。Gemini Developer API公式料金ページ
無料枠はあるが、公開された固定回数はない
録音用とLive用は、入力・出力ともFree Tierを「Free of charge」としています。ただし、無料で使える回数が固定されているという意味ではありません。
レート上限はプロジェクト単位で、モデル、利用Tier、アカウント状態などにより変わります。Transcribe専用の固定RPM・TPM・RPDは公開ページで確認できず、実際の上限はAI Studioで確認します。Gemini API公式レート制限(2026年8月確認)
録音用とLive用の有料単価を分けて計算する
録音済み音声をまとめて処理できるなら、公式概算ではLiveより録音用のほうが安くなります。リアルタイム表示が価値を生む場合だけLiveの差額を受け入れる、という選び方が明快です。
API料金と利用時間ごとの概算
| モデル | 無料枠 | 入力単価 | 出力単価 | 公式の合算概算 | 60分の概算 | 600分の概算 |
|---|---|---|---|---|---|---|
録音用gemini-3.5-transcribe |
入力・出力無料 | 2.00米ドル/100万トークン 約0.003米ドル/分 |
12.00米ドル/100万トークン 約0.002米ドル/分 |
約0.005米ドル/分 | 0.005×60=約0.30米ドル | 0.005×600=約3.00米ドル |
Live用gemini-3.5-transcribe-live |
入力・出力無料 | 3.50米ドル/100万トークン 約0.005米ドル/分 |
21.00米ドル/100万トークン 約0.004米ドル/分 |
約0.009米ドル/分 | 0.009×60=約0.54米ドル | 0.009×600=約5.40米ドル |
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Google AI Pro・UltraとAPI従量課金は別に考える
Google AI ProとGoogle AI Ultraの開発者向け特典は、AI StudioのWeb画面内で利用できるモデルや上限を増やすものです。APIキーを使うGemini APIの利用料を一律に含むサブスクリプションではありません。
直接のAPI利用はCloud Billing側で別管理されます。AI Studio内の試作枠を増やしたいのか、外部アプリからAPIを大量に呼びたいのかを分けて判断してください。Google AIプラン公式ガイド(2026年8月確認)
料金体系全体を整理する場合は、AI Studioの無料範囲とGemini API課金の違いも参照できます。なお、無料枠と有料枠では入力データの利用条件も異なるため、金額だけで決めないでください。
Google AI Studioからどう始める?
Gemini 3.5 Transcribeを始めるには、AI Studioでモデルの利用可否を確認し、録音はInteractions API、リアルタイムはLive APIへコード経由で接続します。
Google AI Studioはモデルを確認してコードへ進む入口です。録音音声の処理は、公式ガイドに掲載されたFiles APIとInteractions APIの組み合わせを基準にすると、一般向けGeminiアプリとの混同を避けられます。
日本・18歳以上などの利用条件を確認する
日本はGemini APIとGoogle AI Studioの利用可能地域に含まれます。利用者は18歳以上である必要があり、Googleアカウントと利用規約への同意が前提です。Gemini API利用可能地域、Gemini API追加利用規約(2026年8月確認)
Google Workspaceでは通常アクセスできますが、管理者がAI Studioを無効化できます。Workspace for Educationの18歳未満の利用者には制限があるため、組織アカウントで開けない場合は管理設定を確認します。Google Workspace向け公式案内(2026年8月確認)
AI Studioではモデルと「Get code」を確認する
AI Studioの公式クイックスタートは、Playground、Run settings、Get codeという画面表記を案内しています。モデルページの「Try in Google AI Studio」から利用画面へ進み、対象モデルが自分のアカウントで表示されるかを確認します。Google AI Studio公式クイックスタート(2026年8月確認)
ただし、録音ファイルをノーコードでアップロードして文字起こしする固定的なクリック手順は、公開中の汎用クイックスタートで確認できません。画面は変更され得るため、本記事では未確認のボタン名や配置を補いません。
録音ファイルはFiles APIからInteractions APIへ渡す
録音済み音声は、公式例どおりファイルをアップロードし、そのURIとMIMEタイプをgemini-3.5-transcribeへ渡します。次は公式Python例に日本語ヒントja-JPを加えた最小構成です。
from google import genai
client = genai.Client()
audio_file = client.files.upload(file="path/to/sample.mp3")
interaction = client.interactions.create(
model="gemini-3.5-transcribe",
input=[
{
"type": "audio",
"uri": audio_file.uri,
"mime_type": audio_file.mime_type,
}
],
generation_config={
"transcription_config": {
"language_codes": ["ja-JP"],
}
},
)
print(interaction.output_text)
この例は、SDKがAPIキーを読み取れる状態を前提にしています。APIキーをブラウザ側の公開コードへ直接埋め込まないでください。コードの基礎形と返り値interaction.output_textは音声文字起こし公式ガイドで確認できます(2026年8月確認)。
リアルタイムならLive APIへ切り替える
マイク音声やライブ配信の字幕は、gemini-3.5-transcribe-liveへWebSocketまたはGoogle Gen AI SDKで接続します。Live用の入力はraw 16-bit PCM音声で、テキストの途中結果と確定結果を受け取ります。
Live APIは接続処理、音声ストリーム、再接続、APIキー保護まで含むため、録音用コードのモデル名だけを置き換えても動きません。Webやモバイルから直接接続する構成では、公式ガイドがAPIキー露出を避けるため短期トークンを案内しています。Live文字起こし公式ガイド(2026年8月確認)
-
利用条件を確認する
日本から18歳以上のアカウントでアクセスし、Workspaceの場合は管理者設定も確認します。
-
目的に合うモデルを決める
ファイルなら
gemini-3.5-transcribe、話している途中の文字が必要ならgemini-3.5-transcribe-liveです。 -
AI Studioで利用可否と料金状態を確認する
対象プロジェクトのモデル表示、APIキー、レート上限、Cloud Billingの状態を確認します。
-
公式コードを最小設定で動かす
最初は
ja-JPだけを指定し、話者分離や単語時刻は必要性が決まってから追加します。
日本語音声ではどの設定を選べばよい?
Gemini 3.5 Transcribeで日本語が確定している音声はja-JPを指定し、固有名詞だけを語彙へ加え、出力目的に応じてverbatimかsmartを選びます。
設定を増やすほど常に良くなるわけではありません。話者分離と単語時刻は出力を豊かにしますが、処理できる長さやモードの組み合わせに制限が増えます。
日本語が分かっているならja-JPを指定する
language_codesを空にすると自動言語判定、["ja-JP"]にすると日本語ヒントになります。公式ガイドは既知の言語を指定すると精度向上につながると説明しています。
generation_config = {
"transcription_config": {
"language_codes": ["ja-JP"],
}
}
固有名詞はカスタム語彙へ絞って入れる
カスタム語彙は、製品名、人名、略語、専門用語など認識を寄せたい語をcustom_vocabularyへ渡す機能です。上限は1,000語ですが、公式ガイドは通常100語以下で最良の結果を得やすいとしています(2026年8月確認)。
一般語まで大量に詰めるのではなく、「学べるブログ」「Gemini」「BCP-47」のように間違えると後工程へ響く語を優先します。音声文字起こし公式ガイド
逐語録はverbatim、読みやすさはsmartを選ぶ
verbatimは初期設定で、フィラー、繰り返し、言い直しを残します。smartは不要語を整理し、文章・箇条書き・数字などを読みやすく整えます。
会議の発言を忠実に残すならverbatim、記事の下書きや要点メモならsmartが候補です。ただしsmartは話者分離・単語時刻と併用できません。音声文字起こし公式ガイド(2026年8月確認)
話者分離と単語時刻は必要な時だけ有効にする
録音用の話者分離は最大8人に対応しますが、3人以上の話者識別は実験的です。単語時刻を有効にすると全体の文字起こし精度が下がる可能性も公式に記載されています。
どちらかを有効にすると音声上限は1時間から30分へ短くなります。字幕編集や発言者別の後処理に使わないなら、付けないほうが制約を減らせます。Gemini 3.5 Transcribe公式モデル仕様(2026年8月確認)
- 言語日本語が確定していれば
ja-JP、混在言語で不明なら自動判定 - 語彙固有名詞・略語だけを優先し、通常は100語以下を目安に絞る
- 文章の形逐語性は
verbatim、読みやすさはsmart - 後工程発言者や単語時刻を実際に使う場合だけ追加し、30分上限を受け入れる
Gemini 3.5 Transcribeが向かない用途と制限
Gemini 3.5 Transcribeは、コードを避けたい単発利用、10分を超える連続Live字幕、無料枠での機密音声処理、音声内容への質問には向かない条件があります。
非推奨条件を先に知ると、無料という理由だけで不適切なルートを選ばずに済みます。ここでは性能ではなく、公式仕様と規約から判断できる制限を分けて整理します。
先に止まって確認したい4条件
- コードを書かず、音声を1回だけ文字にできればよい
- Liveで10分を超える連続セッションが必要
- 個人情報・機密・未公開情報を無料枠へ送ろうとしている
- 文字起こしではなく、音声の要約・質問回答・Google検索連携が目的
ノーコードの単発利用では慎重に選ぶ
筆者の判断では、API実装を避けたい単発利用だけが目的なら、Gemini 3.5 Transcribeを最初から選ぶ必要性は高くありません。
公式モデルページにはAI Studioで試す導線がありますが、録音ファイルの操作を最後まで固定的に説明する公開ガイドは確認できません。仕様変更へ追随する開発用途には合いますが、クリックだけで完結することを最優先する人は、画面完結型の文字起こしサービスと比較したほうが判断が速くなります。
長い音声は録音とLiveで上限が異なる
録音用は通常1リクエスト最大1時間で、話者分離または単語時刻を有効にすると最大30分です。Live用は1セッション最大10分で、話者分離と単語時刻には対応しません。Gemini 3.5 Transcribe公式モデル仕様(2026年8月確認)
上限を超える音声は分割・再接続が必要になります。分割点で発話が切れる、話者ラベルがセッションをまたいで連続しないといった設計上の課題は、利用者側で対処します。
機密音声を無料サービスへ送らない
無料のAI StudioとGemini API無料枠では、入力した内容と生成結果がGoogleの製品・サービス・機械学習技術の改善に利用され、人による確認の対象になる可能性があります。公式規約は、機密・センシティブ・個人情報を無料サービスへ送らないよう明記しています。Gemini API追加利用規約(2026年8月確認)
有効なCloud Billingに紐づく有料サービスでは、プロンプト、ファイル、応答を製品改善に使わないとされています。ただし、安全性・不正利用防止・法的対応のため限定期間ログを保存する記載があり、具体的な保持日数は規約に明記されていません。「有料なら一切保存されない」とは書かないのが正確です。
Files APIの保存期間とモデル側ログを分ける
Files APIは1ファイル最大2GB、1プロジェクト合計20GBまで保存でき、アップロードしたファイルは48時間後に自動削除されます。手動削除もできますが、アップロードしたファイルをAPIから再ダウンロードすることはできません。Files API公式ガイド(2026年8月確認)
48時間はFiles API上のファイル保存期間です。プロンプトや応答に関する規約上のログ条件と同じものではないため、両者を混ぜて「全データが48時間で消える」と解釈しないでください。
要約や質問回答なら音声理解用モデルを使う
Gemini 3.5 Transcribeは音声を文字へ変換する専用モデルで、Google Searchとfunction callingは非対応です。音声を要約する、内容へ質問する、検索結果と結びつける用途は、一般のGemini音声理解モデル側で設計します。Gemini 3.5 Transcribe公式モデル仕様(2026年8月確認)
Google公式発表にあるmacOS版Geminiアプリのファイル分析・画像生成などは、アプリ内で別モデルへ処理を渡す機能です。Transcribe API単体の対応機能とは分けます。
商用利用は権利と責任まで確認する
Gemini APIとAI Studioの追加規約は、開発者が専門・業務目的でGoogle AIモデルを使うサービスと位置づけています。Googleはオリジナルの生成コンテンツについて所有権を主張しない一方、法令順守、必要な帰属表示、生成内容の利用責任は利用者側にあるとしています。
これは、録音した第三者の発言や著作物を自由に商用利用できるという包括的な許諾ではありません。音声の収録同意、個人情報、著作権、業界ルールは別に確認します。Gemini API追加利用規約(2026年8月確認)
Gemini 3.5 Transcribeのよくある質問
Gemini 3.5 Transcribeの導入では、対応ファイル、Files APIの保存、Liveの出力、エラー、一般向けアプリとの違いを先に確認すると迷いを減らせます。
以下は、初心者が実装や契約の途中で止まりやすい点を補うFAQです。
Files APIへアップロードした音声をあとでダウンロードできますか?
Files APIへ利用者がアップロードした音声は、APIから再ダウンロードできません。
メタデータは取得でき、ファイルは48時間保存された後に自動削除されます。元音声は自分の安全な保存先で管理し、不要ならfiles.deleteで手動削除します。Files API公式ガイド(2026年8月確認)
MP3・M4A・WebM・Opusの文字起こしに対応していますか?
Gemini 3.5 TranscribeはMP3、M4A、WebM、Opusを含む複数の音声形式に対応しています。
公式一覧はWAV、MP3、AIFF、AAC、OGG、FLAC、MPEG、M4A、L16、Opus、ALAW、MULAW、WebMです。ファイル名の拡張子だけでなく、正しいMIMEタイプを渡します。音声文字起こし公式ガイド(2026年8月確認)
Google検索やfunction callingも同じモデルで使えますか?
Gemini 3.5 TranscribeのAPIモデルは、Google Searchとfunction callingに対応していません。
文字起こし後の検索・要約・外部処理は、対応する別モデルへテキストを渡して構成します。macOS版Geminiアプリが別モデルを呼び出す機能と、Transcribe API単体の仕様を混同しないでください。公式モデルページ(2026年8月確認)
Live APIの途中結果と確定結果はどう違いますか?
Live APIは発話中の暫定テキストと、発話区切り後の確定テキストを別イベントで返します。
interim_input_transcriptionは低遅延の途中候補、input_transcriptionは確定結果です。Liveでは単語単位の時刻ではなく、発話単位のイベントとして扱います。Live文字起こし公式ガイド(2026年8月確認)
429 RESOURCE_EXHAUSTEDは障害ですか?
429 RESOURCE_EXHAUSTEDは、まず対象プロジェクトのレート上限または支出上限へ達した可能性を示します。
短時間待って再試行し、AI Studioで現在の上限とTierを確認します。広域の障害が疑われる場合はGoogle AI Studio公式ステータスページも確認します。Gemini API公式レート制限(2026年8月確認)
iPhoneやWindowsの専用アプリで使えますか?
Gemini 3.5 Transcribeの開発者向けモデル自体は、iPhone・Windows専用の文字起こしアプリではありません。
公式発表では、一般向け機能としてAndroidのGboard Ramblerと英語のmacOS版Geminiアプリを案内し、Chrome対応は「coming soon」としています。日本語対応のRamblerを含め、APIとは画面・条件が別です。Transcribe固有のiOS・Windowsネイティブ統合は公式情報で確認できません(2026年8月30日確認)。Gboard Rambler公式ヘルプ、macOS版Geminiアプリ公式発表
まとめ|Gemini 3.5 Transcribeを選ぶ条件
Gemini 3.5 Transcribeは、APIで日本語音声を扱い、録音処理とリアルタイム処理を目的別に選べる人に向く一方、単発ノーコード用途や日本語精度の数値保証には向きません。
録音後に処理できるなら、料金が低く、話者分離や単語時刻も選べるgemini-3.5-transcribeから検討します。リアルタイム表示そのものに価値がある場合だけ、gemini-3.5-transcribe-liveを選びます。
今取る行動は、判断表で自分の1行を選び、AI Studioでモデル・上限・課金状態を確認すること
- 選ぶ:API実装ができ、録音またはLiveの用途が明確
- 条件付き:話者分離・単語時刻・長時間処理が必要
- 見送る:コードなしの単発利用、無料枠での機密音声、日本語精度の数値保証が必須
まずは最小設定のja-JPで公式コードを準備し、固有名詞や出力形式の要件が決まった後に設定を足してください。機密音声は無料枠へ送らず、有料条件と組織のデータ要件を先に照合します。
モデルの提供状態、無料枠・API料金、利用上限、日本語の精度根拠、AI Studioの導線が変わった時点で、この判断表を再確認してください。
引用元・参考情報
本文で使用した公式一次情報と数値原典です。リンク先の内容は変更される可能性があります。
- Google利用規約 — 提供主体の確認/最終確認日:2026-08-30
- Google公式「Intelligent transcription with Gemini 3.5 Transcribe」 — 発表主体、2モデル、公開ベンチマーク、一般向け展開/最終確認日:2026-08-30
- Gemini APIリリースノート — 2026年8月26日のGA記載/最終確認日:2026-08-30
- Gemini 3.5 Transcribe公式モデルページ — モデルID、機能、上限、非対応機能、日本語/最終確認日:2026-08-30
- Audio transcription公式ガイド — 録音用コード、言語、語彙、モード、対応形式/最終確認日:2026-08-30
- Live transcription公式ガイド — Live API、PCM入力、途中・確定結果、上限/最終確認日:2026-08-30
- Gemini Developer API公式料金ページ — 無料枠、トークン単価、分単価概算/最終確認日:2026-08-30
- Gemini API公式レート制限 — プロジェクト単位のRPM・TPM・RPDとAI Studioでの確認/最終確認日:2026-08-30
- Google AIプラン公式ガイド — AI Pro・Ultraと直接API課金の分離/最終確認日:2026-08-30
- Google AI Studio公式クイックスタート — Playground、Run settings、Get codeの表記/最終確認日:2026-08-30
- Gemini API利用可能地域 — 日本での提供/最終確認日:2026-08-30
- Google Workspace向け公式案内 — 管理者設定と教育アカウントの条件/最終確認日:2026-08-30
- Gemini API追加利用規約 — 年齢、無料・有料のデータ利用、業務利用、生成内容/最終確認日:2026-08-30
- Files API公式ガイド — 2GB、20GB、48時間、削除、再ダウンロード不可/最終確認日:2026-08-30
- Google AI Studio公式ステータス — 障害確認/最終確認日:2026-08-30
- Google Cloud Speech-to-Text Chirp 3 — 別サービス・別モデルIDの確認/最終確認日:2026-08-30
- Artificial Analysis Speech-to-Text Non-Streaming — 録音用WERの数値原典/最終確認日:2026-08-30
- Artificial Analysis Speech-to-Text Streaming — Live用WERの数値原典/最終確認日:2026-08-30
- Gboard Rambler公式ヘルプ — Android側の一般向け機能/最終確認日:2026-08-30
- macOS版Geminiアプリの音声機能に関するGoogle公式発表 — macOS側の一般向け機能/最終確認日:2026-08-30
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