【NVIDIAも出資】設立1年で評価額10億ドル越え!日本発のSakana AIとは?

企業

Sakana AIは、設立からわずか1年でユニコーン企業の仲間入りを果たした日本発の企業です。

とは言っても、「Sakana AIって何?」「どんなことをやっている企業なの?」と思う人も多いはずです。また、個人的に「日本人として、そして自分の将来のために知っておかないといけない企業だな」と感じました。そんな思いもあったため、Sakana AIについてわかりやすくまとめた記事を作成しました。

►「読んでもらいたい人」と「この記事でわかること」

「読んでもらいたい人」「この記事でわかること」を以下にまとめました。

✓読んでもらいたい人

・AI技術に興味がある人

・日本の技術革新に興味がある人

・新しい技術に関心がある人

・グローバルな視点でビジネスやテクノロジーを理解したい人

✓この記事でわかること

・Sakana AIの概要

・進化的モデルマージについて

・Sakana AIが開発したAIモデル

・Sakana AIのビジョン

►Sakana AIとは?

Sakana AIは2023年8月に東京で設立された、AI研究開発のスタートアップ企業です。

以下の2名がSakana AIを設立しました

David Ha(デビッド・ハ)氏:元Google Brain Tokyo Head。深層学習、強化学習、自然言語処理などの分野で、多くの画期的な研究成果を上げています。

Llion Jones(ライオン・ジョーンズ)氏:元Googleの研究員。現在の生成AIの爆発的な普及につながったTransformerモデルの提案論文である「Attention Is All You Need」の著者の1人です。

►Googleを離れて日本発のスタートアップを立ち上げた理由

David Ha氏とLlion Jones氏は、GoogleでのAI研究に限界を感じていました。加えて巨大テック企業の中では、革新的なAIを生み出すことは難しいと考えていました。自由に研究開発できる環境を得るために、そして自分たちの想像を現実に変えるために、Sakana AIを設立しました。

日本を選んだ理由は、日本の文化や技術力への敬意、そして優秀な人材の存在からです。日本にはAI研究開発のポテンシャルが秘められていると確信し、東京を拠点に活動を開始しました。

またSakana AIは、多様性と創造性を重視する企業文化を育てています。一人ひとりの個性を尊重し、自由な発想を後押ししています。そのようにして、革新的なアイデアを生み出してきました。

このような企業文化があるからこそ、わずか1年でユニコーン企業となり、ForbesTechCrunchなどの世界中のメディアから注目を集める存在となりました。

✓ユニコーン企業とは?

設立10年以内で、企業価値が10億ドル(約1400億円)を超える未上場企業のことです。世界で数千社あるスタートアップ企業の中で、ユニコーン企業になれるのは一握りです。その希少性が、伝説上の生き物であるユニコーンのようであることから、ユニコーン企業と呼ばれるようになりました。

ユニコーン
ユニコーン

►Sakana AIのロゴに秘められた真の意味とは!?

Sakana AIのロゴには、今日のAI研究の潮流が表現されています。

多くのグループは、Transformerアーキテクチャを利用してモデルを大きく、データを大きく、学習時間を大きくして、AIの性能を高めていくことを考えています。これも素晴らしい活動ですが、あまりにも多くのグループが同じように活動しています。

その中でSakana AIは「もしかしたら他にもやるべきことがあるんじゃないか」という考えを持って活動をしています。他のグループが見てないところに目を向けて活用していくという意味が、Sakana AIのロゴには込められています。

Sakana AIのロゴ
Sakana AIのロゴ

►自然の知恵をAIに活用する

Sakana AIは自然界の進化や集合知といった、生命が持つ能力をAIに組み込もうとしています。SF映画のような話ですが、Sakana AIはそれを現実のものにしようとしています。

例えばアリについてです。アリ1匹の能力は限られています。しかし集団で行動することで巨大な巣を作り、食料を効率的に集め、外敵から身を守ることができます。

また鳥の群れは、リーダーがいなくてもお互いの動きを感知します。そして、複雑な列を維持して飛ぶことができます。それぞれの鳥が単純なルールに従って、全体として非常に高度な飛行を実現しています。

上記の2つの例は集合知の力が発揮されている例です。集団が個々の知性を超えた、高度な知性を発揮します。

Sakana AIは、このような自然界の知恵をAIに組み込もうとしています。そうすることでエネルギー効率の高いAI環境適応能力の高いAI創造性豊かなAIを生み出せると考えています。

►Sakana AIが独自に開発した新技術!進化的モデルマージ

Sakana AIを支えているのは、進化的モデルマージという独自に開発した技術です。生物の進化のように複数のAIモデルを組み合わせて、より優れた新しいモデルを自動的に生み出すことができます。

この章では進化的モデルマージについて少しでも理解できるように、特徴を解説していきます。少し内容が難しいかもしれません。しかし、Sakana AIを理解する上で非常に重要な技術です。

◼︎進化的モデルマージの仕組み

進化的モデルマージを少しでも理解するために、仕組みについて見ていきましょう。

☐親モデルと子モデル

進化的モデルマージでは、まず複数のAIモデルを準備します。これを親モデルと呼びます。そして、これらのモデルの一部を組み合わせて、新しいモデルを生成します。新しいモデルは子モデルと呼びます。親モデル同士の組み合わせは、遺伝的アルゴリズムと呼ばれる手法によって決定されています。

✓遺伝的アルゴリズムとは?

生物の進化を模倣したアルゴリズムのこと。進化的モデルマージで使われているツールのひとつです。ランダムな要素を含みながらも、より優れたモデルが生み出せるように組み合わせ方を自動的に工夫します。

既存のモデルを組み合わせて新しいモデルを生み出す

次に、生み出された子モデルの性能を評価します。画像認識AIなら、画像を正しく認識できるかどうか、そのようなことをテストします。

評価の中で性能の良い子モデルは生き残り、性能の悪い子モデルは脱落します。

そして生き残った子モデルは親モデルとなり、新たな子モデルを生み出します。このプロセスが繰り返されて、AIモデルは徐々に進化し、性能も向上していきます。

☐データフロー空間とパラメータ空間

進化的モデルマージでは、データフロー空間パラメータ空間を組み合わせることで、既存のモデルの優れた特徴を統合します。そのようにして、より高性能な新しいモデルが生み出されていきます。生き物の進化のように、優れた遺伝子を受け継いで環境に適応していく過程に似ています。なおマージとは、複数のものをひとつにするという意味を指した言葉です。

以下は、パラメータ空間とデータフロー空間の組み合わせを可視化した動画になります。

データフロー空間とパラメータ空間の両方におけるモデルの統合(Sakana AIブログから引用)

次に、パラメータ空間とデータフロー空間に分けて、どのように統合されていくのかを見ていきます。

☑︎データフロー空間を操作してAIモデルの構造を進化させる

複数のAIモデルから、それぞれの「レイヤー」と呼ばれる部品を組み合わせて、新しいモデルの構造を作ります。どのレイヤーをどう組み合わせるかは、従来は人間の直感や経験に頼っていました。しかし遺伝的アルゴリズムを使うことで、より効率的に最適な組み合わせを見つけ出すことができます。

例えば2つのモデルA、Bから、それぞれ特定のレイヤーを取り出し、それらを組み合わせて新しいモデルCを作るようなイメージです。

データフロー空間におけるモデルの統合(Sakana AIブログから引用)
☑︎パラメータ空間を操作してAIモデルの中身を進化させる

複数のAIモデルが持つ「重み」と呼ばれる数値データを様々な比率で混ぜ合わせ、新しいモデルの重みを作ります。重みの組み合わせ方は無限に存在します。しかし遺伝的アルゴリズムを使うことで、より効率的に最適な組み合わせを見つけ出すことができます。

 以下は、2つの異なるモデルの重みを混合する様子を可視化した動画になります。

パラメータ空間におけるモデルの統合(Sakana AIブログから引用)

◼︎ 進化的モデルマージが切り拓く「AI開発の新時代」

進化的モデルマージは、AI開発に革命をもたらす技術です。

✓以下の内容が進化的モデルマージの優れた技術になります

・既存のモデルを組み合わせるため、従来に比べて圧倒的な速さで新しいAIモデルが開発できます。

・異なる能力を持つAIモデルを組み合わせることで、様々なタスクをこなせるAIを簡単に作り出すことができます。

・進化的アルゴリズムによって、人間が介入することなく、AIが自ら最適なモデルへと進化していきます。

・GPUなどの高価な計算資源をそこまで必要としないため、開発コストを大幅に削減できます。

専門知識がなくても、高性能なAIモデルを開発できるようになります。作成したい人がAIモデルを簡単に作成できるようになる、そんな未来を想像できますね。

◼︎進化的モデルマージでAIを自動設計し、マルチモーダルAIを作り出す

進化的モデルマージはまだ発展途上の技術です。今後、さらに進化していくことが期待されています。

例えば将来的には、AIが人間の指示なしに、自らモデルを設計するようになるかもしれません。また、画像、音声、テキストなど、複数の種類のデータを扱うマルチモーダルAIへの適用も期待されています。

►Sakana AIが生み出す驚異のAIモデル

Sakana AIが生み出したAIモデルは、どれも驚くべき能力を持っています。

◼︎EvoLLM-JP|日本語を操り数学の難問を解く

EvoLLM-JPは日本語の文章を生成したり、質問に答えたりするだけではありません。人間のような数学的な推論能力も備えています。

例えば、日本語で書かれた数学の問題を理解し、解答を生成してくれます。

✓性能の評価

日本語言語理解ベンチマークにおいて、EvoLLM-JPは70億パラメータの大規模言語モデルと同等以上のスコアを達成しています。

✓応用の可能性(例)

日本語の文章生成、自動翻訳、質問応答システム、教育分野など、様々な分野での活用が期待されています。

◼︎EvoVLM-JP-v2|画像と日本語を理解するAIモデル

人間の目のように画像を認識し、内容を日本語で説明したり、画像に関する質問に答えることができます。複数の画像を同時に見て内容を理解することもできます。

✓性能の評価

日本語画像言語理解ベンチマークにおいて、最高スコアを達成しています。

✓応用の可能性(例)

・画像検索

・画像キャプション生成

・視覚障害者向けの支援ツール

・ロボットの視覚認識

以下のリンクからEvoVLM-JP-v2のデモ版を活用することができます。

https://huggingface.co/spaces/SakanaAI/Llama-3-EvoVLM-JP-v2

◼︎EvoSDXL-JP|日本語の指示で瞬時に画像を生成するAIモデル

言葉でイメージを伝えるだけで、イメージ通りの画像を瞬時に生成します。創造力を刺激するようなAIモデルです。

✓性能の評価

画像生成速度は、従来のモデルに比べて約10倍の速度です。生成された画像の精度も高く、人間の評価でも高いスコアを獲得しています。

✓応用の可能性(例)

・ゲーム開発

・広告制作

・イラスト制作

・アート

・教育分野

以下のリンクからEvoSDXL-JPのデモ版を活用できます。

https://huggingface.co/spaces/SakanaAI/EvoSDXL-JP

◼︎Evo-Ukiyoe|美しい浮世絵を描くAIモデル

日本の伝統芸術である浮世絵を再現してくれます。江戸時代の風景や人物が蘇ります。

✓応用の可能性

・アート

・ゲームの背景画像

・歴史

・観光案内

日本の文化を世界に発信するツールとして、活用が期待されています。

以下からのリンクからEvo-Ukiyoeのデモ版を活用できます。

https://huggingface.co/spaces/SakanaAI/Evo-Ukiyoe

◼︎Evo-Nishikie|色あせた資料に色を吹き込むAI

色あせた過去の貴重な資料に色を吹き込んでくれます。タイムスリップしたかのような体験ができるはずです。

✓応用の可能性

・歴史資料の復元

・美術館や博物館での展示

・歴史

・デジタルアーカイブなど、

文化遺産の保存の際、活用が期待されています。

以下のリンクからEvo-Nishikieのデモ版を活用できます。

https://huggingface.co/spaces/SakanaAI/Evo-Nishikie

►Sakana AIの凄さに世界が注目しています

今、Sakana AIは世界から注目されています。

◼︎投資家からの期待

Sakana AIはNVIDIAや日本の大手企業など、世界中の投資家から巨額の資金を調達しています。巨額の資金を調達できているということは、Sakana AIの技術と可能性に期待が集まっているということです。

✓例えば、以下のような形で資金の調達に成功しています

シリーズAラウンドでの資金調達額:2億ドル(日本円で約280億円)

・主な出資企業:NVIDIA、NEC、NTT、ソニー、富士通、三菱UFJフィナンシャルグループなど

✓シリーズAラウンドとは?

スタートアップ企業が事業を本格的に拡大するために、ベンチャーキャピタルなどから数億円から数十億円規模の資金を調達する段階のこと。

✓ベンチャーキャピタルとは?

将来性のあるスタートアップ企業に投資を行う企業や組織のこと。

◼︎なぜSakana AIに投資をしたのか

以下にSakana AIのブログから引用した「起業家の声」を共有します。以下のテキストを読むことで、なぜSakana AIに投資をしたのかが見えてきます。

“各国は、独自の大規模言語モデルを通じて自国のデータ、文化、言語を把握し、体系化するためにソブリンAIを採用しています。 サカナAIのチームは、NVIDIAのアクセラレーション・コンピューティング・プラットフォームを利用して科学的発見を自動化・高速化する最先端の基盤モデルを開発することで、日本におけるAIの民主化に拍車をかけています。

ジェンセン・フアン、NVIDIA創業者兼CEO。

“世界的に多くの研究所が追いつこうとしている中、みんなと同じ手法を使って基礎モデルを訓練していますが、日本のサカナAIは革新への道を示しています。 私たちは早くから投資を行っており、NVIDIAがこの旅に参加してくれることに感激しています」

ヴィノッド・コスラ、コスラ・ベンチャーズ創業者。

◼︎NVIDIAとSakanaAIの最強タッグ

AI業界の巨人であるNVIDIAは、Sakana AIの大株主になりました。日本発のスタートアップ企業とアメリカの半導体のドンが手を組むのは、まさに異例中の異例です。

✓主な提携内容は以下の通りです

・NVIDIAのGPU技術を活用したAIモデルの開発

・より小型でコスト効率の高いAIモデルの開発

・NVIDIAのデータセンターを活用したAI研究

・日本でのAIコミュニティの活性化に向けた共同イベントを開催

NVIDIAの最先端のGPU技術と、Sakana AIのアルゴリズムが融合することで、世界を変えるようなAIが日本から生まれるかもしれません。

また、NVIDIAがどんな企業なのかを知りたい人は以下の記事が参考になります。合わせてお読みください。

►巨人たちとの戦い

Sakana AIは進化的モデルマージという独自の技術を開発しました。それによって、OpenAIやGoogleといったAI業界の巨人たちとも互角に戦えるようになりました。Sakana AIの武器は「従来のAI開発とは違ったアプローチで高性能なAIモデルを効率的に開発できる」という点です。現在は、日本市場に特化したモデル開発にも力を入れています。

✓OpenAI、Googleと比較をすることで以下の違いが見えてきます

・OpenAIやGoogleは、巨大な資金力と豊富な人材を活かして大規模なAIモデルを開発しています。

・Sakana AIは、より少ないコストで高性能なAIモデルを開発すること成功しています。

小よく大を制す。

Sakana AIは限られたリソースの中でも、独自の技術と戦略によって巨人たちと互角に渡り合えることを証明しています。

日本の小さな魚が、世界という大海原で巨大なクジラに挑む。Sakana AIの挑戦は、始まったばかりです。

魚と鯨 Sakana AI
小さな魚が世界という大海原で巨大なクジラに挑む

►この記事の引用元

Sakana AIの記事を書くにあたって、以下のリンクを参考にしました。

https://sakana.ai/blog

►まとめ|Sakana AIの今後のビジョン

以上になります。

Sakana AIは、日本が直面する人口減少、競争力低下、地政学的緊張といった課題に対し、AI技術を通じて解決することを目指しています。長期的には世界トップクラスのAI研究所を日本に設立し、日本とその同盟国が抱える問題を解決できる技術を生み出すことを掲げています。

日本人として、Sakana AIのビジョンや動向を知ることは非常に重要だと感じました。僕個人としては、引き続きSakana AIの動向をチェックし、情報をブログ記事にわかりやすくまとめ、共有していこうと思います。

この記事がSakana AIの理解につながれば幸いです。

なお記事に関しての感想やご要望等ございましたら、コメント欄にて受け付けてます。このページを下までスクロールすると見つかります。

読んで頂いた人の意見をもとに、記事の内容を向上させていきたいと思ってます。ぜひご記入ください!

最後までお読み頂きありがとうございます。

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